
フルマラソンを走る初心者なら、一度は取り入れておきたいのが「30km走」の練習です。
長距離を走り切る自信がつくだけでなく、ペース配分をつかむ効果があります。
しかし、難しいのが練習のタイミング。あまりやりすぎては、かえって大会前に疲労が蓄積してしまうことも。
この記事では、初心者が30km走を行う正しい時期や適切なペースについてご紹介します。
30km走で得られる効果を知って、マラソンの練習に取り入れてくださいね。
目次
30km走をマラソン練習に取り入れる6つの効果
マラソンの練習で30kmを走るとなると、時間もかかりますし体力も使います。
初心者なら、「そんなに長い距離を練習で走るの?」と疑問に思ってしまうことでしょう。
この長い距離への心理的な抵抗をなくすことこそ、30km走を取り入れるポイントです。
わざわざ長距離練習をする理由を、6つの効果に分類してみてみましょう。
30km走で期待できる効果1.長距離を走ることに慣れる
30km走をする第一の意味は、長距離の心理的な不安をなくすことです。
とくにフルマラソンが初めての初心者ランナーほど、30km以上の距離を「未知の世界」と考えています。
大会当日、不安があると心拍数が上がり筋肉が硬くなります。
普段のパフォーマンスを発揮できないことも。
一度でも長距離を走った経験があると、「大丈夫だ」と自信につながります。
長い距離を走る不安をなくすことこそ、初心者がフルマラソンを完走する第一歩です。
30km走で期待できる効果2.マラソンのペースをつかめる
次にフルマラソンを走り切るのに重要なことはなにか。それは、ペース配分です。
42.195kmという長い距離をベストタイムで走るには、体力に合わせてスピードを調整しなければいけません。
前半で飛ばしすぎては、後半でスタミナが切れてしまいます。
必要以上に温存すると、目標タイムに届かなくなってしまうことも。
タイムから逆算し、1kmごと、5kmごとの目安時間を気にしながらペースを決めて走りましょう。
30km走を終えた時点で、どれくらいの体力が残っているのか。
それにより、フルマラソンを目標タイムで走り切る力があるのかどうか確認できます。
30km走で期待できる効果3.走る筋力を高めることができる
30kmを走り切ることで、筋力がつきます。マラソンで、足の筋力を鍛えることは重要なポイントです。
なぜ、30km走が足の筋力を高めるのか。それは、筋肉は損傷と回復を繰り返すことで、筋肉を構成している筋線維を太くすることができるからです。
長距離走ほど、筋肉にダメージがかかります。しかし休養を挟み回復することで、筋線維が太くなり、より大きなダメージに耐えられるように。
また筋力があることで、膝の関節にかかる負担を減らす効果が期待できます。
30km走で期待できる効果4.フルマラソンを完走するスタミナをつけられる
さらに30km走で期待できる効果が、スタミナすなわち持久力をつけることです。
持久力とは何か、ピンとこない方もいるかもしれません。具体的には、体の心肺機能を高めることを指します。
体は、運動中に酸素を利用してエネルギーの元となる糖や脂肪を燃やします。
血液や筋肉に送り込まれる酸素が多いほど、運動のパフォーマンスが向上します。
30km走のような長距離練習は、体が酸素不足の状態を作り出します。
すると、心臓や肺は不足状態に対応するため、よりたくさんの酸素を取り込み血中に送り出すことができるようになるのです。
心肺機能が高まり、持久力がつくことで、より早く長く走れるようになるでしょう。
30km走で期待できる効果5.体の糖代謝機能をアップさせられる
持久力とおなじくらいマラソンに大切なのが、体の糖代謝です。
先ほどご説明したように、体は酸素を用いて糖をエネルギーに変えます。
このとき、筋肉に貯蔵されるのがグリコーゲンです。糖がグリコーゲンとなり、筋肉を動かすもとになります。
このグリコーゲンは貯蔵できる量が決まっています。そしてその量が多ければ多いほど、エネルギー切れせずマラソンを走れます。
30km走は、体中のグリコーゲンを使い切るほどハードなものです。
運動でグリコーゲンが枯渇したあと、十分な量の糖を摂取することで、体はより多くのグリコーゲンを蓄えられるようになります。
30km走で期待できる効果6.フルマラソンの30kmの壁に備えられる
そして6つ目の効果が、一番大事なポイントです。
フルマラソンには、「30kmの壁」と呼ばれる試練があります。
それまで懸命に走っていたのに、急にスピードが落ちて足が動かなくなってしまう現象です。
これが、30kmを境に起きることが多いため、ランナーの間ではフルマラソンは30km以降が勝負ポイントと考えられています。
なぜ、30kmの壁があるのか?
それは、体内のグリコーゲンが枯渇し走るエネルギーが切れてしまうからです。
体はエネルギーがなければ筋肉を動かすことができません。走る意思があったとしても、足が動かない。
そんな状態を回避するために、持久力を高め糖代謝を上げて30kmの壁に備えます。
つまり、30km走でトレーニングを積むことは、フルマラソンを最後まで全力で走り切れる力をつけることにつながります。
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30km走を行う最適な時期はいつ?大会の2週間前まで
30km走を行う上で、注意したいのがタイミングです。
長距離を走ることで、体は疲労が蓄積します。いつもの5km走や10km走の練習より、体は大きなダメージを受けます。
回復期間を考えると、大会の2週間前を切ったらやらないほうがいいでしょう。
フルマラソン初心者は、大会1か月前を目安に30km走を1回走ってみましょう。
長距離を走る感覚と、ペース配分をつかむ助けになります。
より速いタイムを目指すランナーは、練習で定期的に取り入れてみましょう。
ただし、走り込みすぎるのは体の故障を招きます。
体の調子を見ながら、しっかりと回復期をとりましょう。
30km走を行う正しいペースは目標タイムから逆算する
30km走で得られる効果を最大限にするには、走るペースは自分の目標タイムから逆算してみましょう。
たとえば、フルマラソンを5時間半で完走したいなら、以下のようなペース配分になります。
フルマラソンの目標タイム5時間半を目指すランナーの場合
・1kmあたりのペース:7分40秒~50秒
・30kmのタイム:3時間50分~55分
より早い目標のサブ4レベルを狙うなら、ギリギリ4時間で完走できるイーブンペースは【キロ5分40秒】です。
フルマラソンの目標タイム4時間を目指すランナーの場合
・1kmあたりのペース:5分40秒
・30kmのタイム:2時間50分
設定ペースで30km走を走ってみて、体力がどれくらい残るのかみてみましょう。
スタミナ切れを感じるようであれば、フルマラソンの目標達成は難しいかも。
その後のトレーニングでスピードや走行距離をどのように伸ばすのか、参考にできます。
まとめ:30km走の練習はマラソン初心者にもサブ4にも必要
心理的な不安をなくし、最適なペース配分ができるようになること。
筋力を高め、心肺機能と体内に蓄えられるエネルギーを増やすこと。
30km走を行うことで、フルマラソンに必要な走力を鍛えることができます。
ランナーのレベルが初心者でも、より早いタイムを狙っていても、ペースを変えることで効果が得られるのが30km走です。
ただ長い距離を走るだけだと、トレーニングがキツく感じてしまいます。
効果を頭にいれたうえで、練習に取り入れてみましょう。
30km走をすれば運動パフォーマンスがアップすると思えれば、意欲的に行えます。
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