
健康や美容のため、ストレス解消のため、そして、マラソン大会に出たいなど、ランニングを楽しむ理由は様々です。
誰でも気軽に始めることができ、特に道具も必要なく、時間や場所を選ばないというハードルの低さから、ランニング人口はうなぎのぼり。
でも、ランニングを続けていくと、時にケガという落とし穴に陥ることがあります。
十分な知識や指導なしでも始められるゆえに、自分で気がつかないうちに故障やケガを招いてしまいがちなのです。
ランニングを長く楽しむためには、ケガの原因や予防法など、正確な情報を得ることが大切です。
ランニング時のケガの原因を見直そう
間違ったフォームで走っていませんか?
「走る」という行動は、子供のころ誰に教わることなく始めたごく自然な動作といえます。
大人になってからのランニングも、特に指導なしで一人で始めることができるというメリットがあります。
そのため、走り方、フォームについてほとんど知識なく、自己流で走っている人も多いのではないでしょうか?
しかし、自己流のフォームで走り続けていると、気づかないうちに体に負担がかかっていることがあります。
自分では気づかないクセが、痛みの原因となりがちです。
なんとなくどこか痛いな~と感じた時、それは体からのサイン。フォームを見直すことで、状況が改善しケガの予防となるでしょう。
・猫背にならず姿勢よく
・視線は前方
・腕や肩の力を抜く
・おへその下あたりを引き締める感じで
これらは、正しいフォームの基本です。意識して走るとよいでしょう。
合わないシューズをはいていませんか?
ランニングに必要な道具といえば、まずはシューズですね。ランニングシューズは数えきれないほど出回っています。
機能、デザイン、ブランド名、価格など、その幅の広さは広すぎるほど。その中から一つを選ぶことはなかなか難しいものです。
そして、つい、
・デザインやブランド名だけで選んでしまった
・軽さや重さだけで選んでしまった
・値段で選んでしまった
という経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
しかし、シューズ選びで最重要条件は、「実測値」です。
足の長さだけでなく、甲の高さ、足の幅、左右の足の違いもあり、一般的なサイズ表示を見ただけでは、自分の足にフィットするかどうかはわからないものです。
店頭で実測値を測ってもらうことができますので、自分の実測値を知っておくとよいでしょう。
オーバーワーク(無理)をしていませんか?
ランニングを健康的に続けるために大切なこと。
それは、「気持ちよく走る」ということです。
自分が気持ちよいと感じるペース、走り終わった後、息が切れ切れになるような走りではなく、心地よい疲労感と爽快感が感じられるようなランニングが理想です。
「レースで勝ちたい」「走行距離を伸ばしたい」「早くダイエット効果を得たい」
などという気持ちで、自分の力以上の過度なトレーニングをしていませんか。
ランニングは、
・長時間にわたる運動
・単調な運動のリピート
・左右対称の動き
が特徴です。
そのため、無理をするとオーバーワークになりやすく、ケガを引き起こす可能性があります。
筋力や柔軟性が不足していませんか?
十分な筋力と柔軟性が備わっていないと、ケガをしやすくなります。
筋肉は、骨や関節、じん帯などを支える重要な役割を持っています。ランニング中、脚を前へ運ぶと同時に、衝撃を吸収し、これらの組織にかかる負担を軽減してくれています。
また、柔軟性には想定外の負荷をうまく逃がす役割があります。例えば、ランニング中、転倒したり足をひねるなどの突然起こるアクシデントに柔軟に対し、その負荷を逃がし、損傷を防いでくれます。
このように、鍛え抜かれた十分な筋力や高い柔軟性はランナーにとってとても大切。
どちらが欠けても、ケガのリスクが高くなってしまいます。
体重が足に負担をかけていませんか?
マラソン選手を見るとほぼ全ての選手がスリム体形です。このことから、体重とランニングパフォーマンスとの関連が見て取れるのではないでしょうか。
ランニング中の足へ負担は、体の重さによって変わってきます。
もちろん、体重の多い方が、衝撃・負荷が大きくなります。
過度の肥満は確実に足への負担を増加させ、ひざなど故障に繋がります。
痛みや違和感を抱えながらランニングを続けていませんか?
前のケガが完治していない、違和感やケガの不安を抱えているといった状態でありながら、ついがまんして走り続けてしまうと、次々と違う部分でケガが発生する可能性があります。
人は、どこか悪い部分があるとそれをかばった動作をするものです。
例えば、左ひざに違和感がある状態で走り続けると、次第にそれをかばう形で走るようになり、ついには右ひざまで痛めるという結果です。
小さな違和感でも放置すると、次の大きなケガを引き起こす可能性があります。
ランニングで起こりがちな5つのケガ
膝蓋腱炎(しつがいけんえん)
膝蓋腱とは、太ももの筋肉からひざのおさらに伸びる腱です。この部分が損傷・炎症を起こした状態が、膝蓋腱炎です。
ひざのおさらの下が痛い、ひざの前側が痛いといった症状があります。
引用:松田整形外科記念病院
ふくらはぎの肉離れ
肉離れとは、筋肉の部分分断です。
ランニング中、足を伸ばす=筋肉が伸びるわけですが、実は筋肉には力が入っており収縮しています。
収縮した筋肉を伸ばそうとすることで、筋肉に強く力がかかり、分断されてしまうことがあります。
▼ふくらはぎが痛い!は危険な兆候?痛む3つの原因と解消法とは
腸脛靱帯炎(ランナーズニ―)
「腸脛靱帯(ちょうけいじんたい)」とは、ひざの外側にあります。
ひざの外側の骨が突出してる人、O脚の人など、ひざの外側に負担がかかる走り方をする人に、よく見られます。
ランニングの後に膝の外側が痛くなったら、要注意です。
▼腸脛靱帯炎(ランナーズニー)の原因と痛みを取り除く3つの対処法
疲労骨折
骨折を起こすほどの負荷ではないレベルの圧力でも、同一部位に繰り返し加わることにより、骨折を引き起こすことがあります。
ランニングは、長時間、同じ動きを繰り返す運動のため、疲労骨折を起こすリスクが高いです。ランニングフォームのくせなど、一か所に集中して負荷がかかることが原因となります。
特に、脚の指の付け根やすねに起こりやすく、骨を押さえると痛みを感じます。
▼ランニング中のすねの痛みはどうすればいい?原因と対策を徹底解説!
足底筋膜炎
足底筋膜は、足裏のアーチを支える筋肉です。ランニング、ジャンプ、蹴りだしなどの衝撃吸収に寄与しており、使い過ぎによる負担により炎症を起こしがちです。
足の裏やかかとがが痛くなったら要注意です。
▼ランニングでかかとに痛みが出たら必ずすべき3つの対策【足底筋膜炎を治す】
ケガをしないための予防対策
足にあったシューズを選ぶ
ランニングをする時、足にピッタリ合ったランニングシューズは必須です。
たかがシューズされどシューズ。
足に負担がかかりにくい、走りやすく快適なシューズは、ケガのリスクも軽減してくれます。
自分の足の実測値を知り、ぴったりのシューズを探しましょう。
オーバーワークに気を付ける
ランニングは長時間続ける運動のため、無理は禁物です。
自分の体力に合ったトレーニングを継続し、やりすぎには気を付けましょう。
クールダウンを怠らない
トレーニング後のクールダウンは大切です。特に力の入ったトレーニングの後には、ゆっくりペースのジョギングとストレッチを忘れないようにしましょう。
▼【知らなきゃ損!!】マラソン大会後のケアは超重要!?翌日に疲労を残さない回復法
疲労をためこまない
疲労の蓄積は、ケガの元です。
しっかりと休養をとり体を休ませることは、次のパフォーマンス向上に役立ちます。
練習後は、タンパク質、ビタミン、炭水化物という栄養バランスのとれた食事をとり、しっかりと栄養補給を。そして、お風呂にゆったりと浸かり、十分な睡眠をとりましょう。
良い睡眠は、疲労回復の源です。
また、無理に毎日練習と意気込まずに、一日おきなどと決めて練習に取り組むとよいでしょう。
▼ランニングの疲労はどうすれば早く回復する?アクティブレストって何だ?
▼ウルトラマラソン後の疲労が回復する過ごし方・食事メニューを紹介!
違和感を感じたらランニングをやめる
ランニング中、ひざ、足の裏、アキレス腱、足首、股関節などに違和感を感じたら、放置せず、すぐに練習をやめましょう。
関節や筋に感じる小さな違和感や痛みが、後々大きな痛みとなり、故障の原因となることは少なくないのです。
また、一つのケガや違和感は、その都度丁寧なケアをほどこしましょう。ケガの不安を抱えながらランニングを続けることは、次のケガを誘引するリスクとなります。
ケガの原因を理解し十分なケアを!
ランニングは、同じ動作をリピートしながら長時間続ける運動です。足にかかる負担も大きく、十分なケアなしではケガのリスクが高くなります。
ランニングを長く楽しむために、ケガの原因を知り予防に努めましょう。