
ランニングトレーニングには色々な種類がありますが、ビルドアップ走は長距離を走り切るマラソンで欠かせないスピードトレーニングです。
少しでも早いペースで走りたい!というマラソンランナーには、ビルドアップ走はぜひとも取り入れてほしいトレーニングです。
- なぜビルドアップ走がマラソンランナーなどの長距離ランナーにおすすめなトレーニングなのか
- ビルドアップ走の効果と具体的なやりかた
- ビルドアップ走を練習に取り入れて大会で成果を出すコツ
などをご紹介していきます。
目次
ビルドアップ走とは、段階的にスピードをあげていくトレーニング
ビルドアップ走とは、走り始めはペースをおさえて走り、徐々にペース走くらいの速さまであげていき最後は全力走までペースをあげるトレーニングです。
長距離を走るレースでは、後半は体力的にどうしてもつらくなります。
しかしビルドアップ走後半で、あえてきついペースで走りこむことで、実際のレースの後半でもねばり強く走り続けることができるといわれています。
ビルドアップ走で嬉しい3つの効果!スタミナ・脚力・LT値の向上
ビルドアップ走の主な効果は、
- 心肺機能の向上
- 脚力の強化
- LT値の上昇
の3つです。
ビルドアップ走は段階的にペースをあげていくトレーニングです。ゆっくりしたペースから、段階的に負荷をかけて心肺機能を酷使することで、スタミナの向上につながります。
また、ゆっくり→ペース走の速さ→全力走と、速さを変えて走るため、使われる筋肉、負荷が変わり脚力の強化につながります。
そして、「LT値が高ければ高いほど、早いペースで長時間走ることができる。」と言われているLT値の向上に非常に効果的です。
ではLT値とは何なのか、次でご説明してきます。
LT値の向上=マラソンタイムの向上
LT(Lactate Threshold)値とは日本語で乳酸性作業闘値と呼ばれ、血中の乳酸が急激にたまりはじめる地点のことです。
乳酸は、激しい運動をすると筋肉の細胞内で糖が分解されて蓄積する物質で、乳酸がある状態イコール疲労が蓄積された状態にある、といえます。
画像引用元:トレーニング手法の検証
ビルドアップ走の後半、徐々にペースをあげていくと、ある地点でペースがあがらなくなります。
この地点がLT値に達した地点と考えられ、「これ以上早くしたら長時間もたない」という地点であり、この地点を過ぎると息切れがして苦しくなってきます。
極端に言ってしまえば、このLT値より低いペースならばどれだけの距離でも走れますが、このLT値を過ぎてしまうと息があがりペースも落ちてしまう、ということになります。
このLT値が上がれば、楽に走れる距離とスピードがあがるので、マラソンなどのタイム向上につながる、ということになります。
LT値の向上には、LT値よりも下かLT値付近のペースで走り続けることが効果的とされています。
ゆっくりとしたペースで走り始め、最後の全力走まではペース走くらいのペースで走るビルドアップ走は、LT値の向上に適したトレーニングといえます。
ビルドアップ走の距離やペースの設定方法
走る距離はいくらでも結構ですが、初心者ならば5km、ハーフマラソンやフルマラソンを目指す方は10km~15kmが基本になります。
最初に走る距離を設定し、最後の全力走1km~2kmから逆算して1km~2kmごとに15秒~30秒づつペースをあげていきます。
例えば、5kmを走るビルドアップ走の場合、最初の1~2kmは6分/kmのペースで走り、間の3~4kmは5分30秒/kmペースにあげ、最後の1km を5分/kmまであげて走るといったものです。
ペース配分はあくまで目安として、体調やコンディションによって走る距離やペースアップの程度を変えたりと、練習強度を変えることもできます。
その場合、もし最後の全力走部分でけた違いにスピードがあげられるようであれば、ビルドアップ走としての充分な負荷がかかってないといえます。出だしのペース、段階的に上げるペースを速める必要があります。
逆に、最後の区間やそれ以前にペースダウンをしてしまう場合は、オーバーペースであるといえます。出だしのペース、段階的に上げるペースを遅める必要があります。
ビルドアップ走は、負荷の高めのトレーニングになります。
そのため、頻繁に練習に取り入れず、週に1度ほどトレーニングに取り入れることをおすすめします。
ビルドアップ走で効果を出すコツは心拍数を測ること!
ビルドアップ走でより効果をだすには、最後の全力走までにLT値近くまでペースをあげて走ることが大切になります。
何度かビルドアップ走を走ってみて、自分の全力走にいたるまでのペースをつかむことで効果的にビルドアップ走を走ることができます。
しかし、ペース設定をしても、その日の体調やコンディションによって走れるペースが変わってきます。
そこで、トレーニングに心拍計を利用することをおすすめします。
心拍計を利用することで、その日のコンディションにあわせたペース設定などのトレーニング強度の調整が可能になります。
心拍計を利用し、自分のコンディションを知っておけば、無理なペース設定やタイムを意識してオーバートレーニングにおちいる事もなくなります。
今はランナーには嬉しい高機能な心拍計付きGPSウォッチが充実しています。ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
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Garmin
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ビルドアップ走の注意点:フォームが崩れないように気をつけよう
ビルドアップ走で、全力走までは気持ちよく走れていても、最後の1~2kmの全力走で疲れてフォームが崩れがちです。
フォームが崩れると故障の原因にもなりますので、フォームに気を付けて走りましょう。
また、身体に負担のかかるトレーニングでもあります。練習前後のストレッチは念入りに行いましょう。
サブ3・サブ4を目指す人に送るビルドアップ走の具体的な練習メニュー
- サブ3というのは、フルマラソンを3時間以内に完走すること
- サブ4というのは、フルマラソンを4時間以内に完走すること
になります。
目標タイムが異なると、練習の方法も異なってきます。
サブ3、サブ4を目指す方が具体的にどのような練習をしたらいいのか詳しく説明しますね!
サブ3を目指す人のビルドアップ走の具体的な練習メニュー
フルマラソンを3時間以内で走りたい!というあなたに、大会にむけたビルドアップ走練習メニューの一例をご紹介します。
大会までの週数 | トータル距離 | ペース | 練習頻度 |
大会まで22週から14週 | 16km | 1km‐5km/5分30秒 5km-10km/5分00秒 10km-15km/4分30秒 残り1km/全力走 |
1週間に1度 |
大会まで14週から12週 | 16km | 1km‐5km/4分30秒 5km-10km/4分15秒 10km-15km/4分00秒 残り1km/全力走 |
1週間に1度 |
大会まで10週から8週 | 16km | 1km‐5km/4分30秒 5km-10km/4分15秒 10km-15km/4分00秒 残り1km/全力走 |
1週間に1度 |
大会まで13日 | 10km | 1km‐3km/4分30秒 3km-6km/4分15秒 6km-9km/4分00秒 残り1km/気持ちよく上げる |
|
大会まで6日 | 8km | 1km‐3km/4分15秒 3km-6km/4分00秒 6km-8km/4分00秒以内で気持ちよく上げる |
サブ4を目指す人のビルドアップ走の具体的な練習メニュー
フルマラソンを4時間以内で走りたい!というあなたに、大会にむけたビルドアップ走練習メニューの一例をご紹介します。
大会までの週数 | トータル距離 | ペース | 練習頻度 |
大会まで14週から16週 | 10km | 1km‐4km/6分00秒-5分45秒 4km-8km/5分30秒-5分15秒 8km-10km/5分00秒-4分45秒 |
1週間に1度 |
大会まで10週から12週 | 11km | 1km‐5km/5分30秒-5分15秒 5km-9km/5分00秒-4分45秒 9km-11km/4分30秒-4分15秒 |
1週間に1度 |
大会まで8週から10週 | 13km | 1km‐6km/5分30秒-5分15秒 6km-11km/5分00秒-4分45秒 11km-13km/4分30秒-4分15秒 |
1週間に1度 |
大会まで6週から8週 | 15km走 | 1km‐7km/5分30秒-5分15秒 7km-12km/5分00秒-4分45秒 12km-15km/4分30秒-4分15秒 |
1週間に1度 |
大会まで4週から6週 | 12km | 1km‐5km/5分30秒-5分15秒 5km-10km/5分00秒-4分45秒 10km-12km/4分30秒-4分15秒気持ちよく |
1週間に1度 |
大会まで2週から4週 | 10km | 1km‐4km/5分30秒-5分15秒 4km-8km/5分00秒-4分45秒 8km-10km/4分30秒-4分15秒気持ちよく |
1週間に1度 |
ビルドアップ走で最大の練習効果を出すには、心拍数を測ること!
ゆっくりとしたペースから走りはじめ、気持ちよくペースをあげていくビルドアップ走。
全力で走るのは最後の1~2kmなので、数あるスピードトレーニングのなかでも残る疲労は比較的軽いトレーニングです。
心拍計を利用して、その日のコンディションにあったペース設定で走ることで、オーバートレーニングになることなく脚力の強化、スタミナの向上、LT値の向上が期待できます。
マラソンなど長距離競技で少しでも早いペースで走りたい!という人は、ぜひ週に1度、トレーニングに取り入れてみてください。
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