
肺活量の計測、というのをした経験はありますか?
人間ドックの「肺機能検査」で計測したことのある方も多いかと思います。
では肺活量が、ランニングとどのように関連しているのかはご存知でしょうか?
この記事では、
・ランニングと肺活量の関係
・肺活量を鍛えることは、ランナーにとってどんなメリットがあるのか?
・ジムでできる肺活量トレーニングにはどのようなものがあるのか?
といったあたりのことを紹介していきたいと思います。
ランニングをしていて、肉体的な疲労よりも先に呼吸が苦しくなってしまうということってないですか?
この記事は特にそんな方にこそ読んでいただきたいです。
肺活量を上げるために、ジムでできるおすすめのトレーニング方法を具体的に記載しています。
継続的に鍛えることで、走っていて息が上がってしまうあの苦しさを劇的に減らすことができます。
目次
そもそも肺活量とは何か?
さて冒頭の「肺機能検査」ですが、ご経験のある方は、どのようにして計測したか、覚えていますか?
そうです。あれです。
クリップで鼻をふさいで、管のついたマウスピースをくわえて、肺いっぱいに吸い込んだ空気を「ふーっ」と一気に吐き出すやつです。
肺にある空気を出せるだけ出すように促されるので、結構苦しい思いをした記憶がありませんか?
私の時も、「吐いて吐いて吐いて吐いて」と熱心にまくし立てる医師に乗せられて、咳き込むくらいまで息を吐き続けたのを覚えています。
この計測から分かるように、「肺活量」とは、思い切り息を吸い込み、吐き出せるだけ吐き出した時の空気の量、を指します。
肺の機能は「換気機能」とも言われ、どれだけ多くの空気を換気できるか、という肺の能力を数値化したものが「肺活量」なんですね。
ランニングと肺活量の関係性とは?
では、ランナーにとって肺活量はどのような意味を持つのでしょうか?
ご存知の通り、ランニングは有酸素運動です。
有酸素運動はざっくりと言いますと、酸素を取り込みながら、体内の糖質や脂肪を燃焼させて行う運動です。
したがって、酸素をいかに多く効率的に取り込むかが重要になります。
それでは効率的に酸素を取り込むためには、肺機能がどうなれば良いでしょうか?
はい、その通り。
1回の呼吸で換気できる空気の量が多くなればいいのです。
空気量が多いということはそれだけ酸素量も多くなります。
1回に取り込める酸素の量が増えれば、それだけエネルギーを燃焼させることができ、結果早く、楽に走れるようになります。
逆に1回で取り込める量が少ないと、同じだけの運動をするには数多く呼吸をしなければなりません。
そうなると呼吸筋と呼ばれる肺の周りの筋肉が疲弊したり、また呼吸が浅くなることで1回の換気量が減ってしまう悪循環が起こります。
以上のことから、ランナーにとって肺活量を鍛えることは重要な意味を持ちます。
ランナーにおすすめの肺活量をあげるトレーニングとは?
では肺活量を鍛えるにはどうしたらいいのでしょうか?
人間は呼吸をするのにも筋肉を使っています。
前述の呼吸筋という、肺を覆い、膨らませたりしぼませたりする筋肉です。
肺活量を鍛えるというのは、この筋肉を鍛えることにほかなりません。
ランニングでも筋トレでもそうですが、筋肉を鍛えるには一定の負荷をかける必要があります。
では呼吸筋に適度な負荷をかけ、肺活量を向上させるのに適したトレーニングにはどのようなものがあるでしょうか。
ジムでできるランナーにおすすめな肺活量トレーニング5選
以下では、ジムでできるおすすめの肺活量トレーニングを5つご紹介していきます。
ジムでできるおすすめ肺活量トレーニング1.エアロバイク
まずはエアロバイクです。
ランニングマシンと並んで、有酸素運動のできる器具として、どのジムにも必ず置いてあると思います。
前傾姿勢の取れるスポーツタイプのものや、背もたれに体重をあずける腰にやさしいタイプなど、いくつかの種類があります。
通常、ジムでエアロバイクを使っている人はほとんどダイエットやシェイプアップ目的だと思います。
テレビやスマホを見ながら、ゆっくり、長時間漕いでいる人が多いです。
しかし、肺活量を向上させるなら、「ケイデンス」を意識してトレーニングをしたいです。
ケイデンスとは、自転車におけるペダルの回転数(1分間に何回転したか)のことです。
自転車にはギアがあるので、重いギアだと回転数が少なくても速く進むことができ、軽いギアで同じスピードを出すには回転数を上げる必要があります。
エアロバイクのディスプレイを見ると、[rpm]という単位で回転数が表示されます。
この回転数のことを、ちょっとカッコよく言ってみたのがケイデンスなのです。
エアロバイクも自転車のギアのように負荷調整ができるので、脚にかける負荷量とケイデンスの関係を自分で調節することができます。
低ケイデンス(高負荷でゆっくり漕ぐ)だと、脚に高い負荷をかけるので、脚の筋肉を主に鍛えることになります。
心肺機能への負荷は低めなので、肺活量を鍛える目的とは少し違っています。
高ケイデンス(低負荷でたくさん漕ぐ)だと、脚にはあまり負荷をかけずに、心肺機能を主に鍛えることができます。
脚があまり疲れないので筋肉痛などの心配もなく、効率的に心肺機能のトレーニングができます。
では具体的なケイデンスの数値ですが、ロードレースなどでは90[rpm](1分間に90回転)くらいの高ケイデンスです。
ですが一般人にとって90[rpm]は結構厳しいものがあるので、70~90[rpm]の範囲で、自分が保つことができる程度のケイデンスを目安にすると良いでしょう。
ジムでできるおすすめ肺活量トレーニング2.水泳
肺活量トレーニングの中でも代表的なのが水泳です。
ぜんそくなど呼吸器系の疾患の対策として医師がすすめてくらいなので、心肺機能を鍛えるという意味ではお墨付きです。
水泳もランニングと同様に酸素を取り込みながら運動を行います。
その酸素を取り込む息継ぎのタイミングが限られているので、特に強く吐いたり吸ったりする必要があります。
そのため、他の運動に比べてより呼吸筋が鍛わることになります。
泳ぎが得意な人はじゃんじゃん泳いでもらえればいいですし、あまり得意ではないという人は例えば、
・行きの25mをクロールでがんばる
・帰りの25mは平泳ぎで息を整える
といった感じで往復すると、インターバル効果もあってトレーニングの効率が上がります。
「いやいや全く泳げないから…」
という方は、次のエアロビクスや、プールでのアクアエクササイズなどに行きましょう。
ジムでできるおすすめ肺活量トレーニング3.エアロビクス、アクアエクササイズ
今どきのスポーツジム、フィットネスクラブは、月会費さえ払っていればエアロビクスなどの各種プログラムに無料で参加できるのが一般的です。
私の通っているジムでも、腹筋をターゲットにしたエクササイズや、ダンスを楽しむことに重点をおいたものなど、多彩なプログラムがあります。
肺活量を鍛えるには、動きが多くて激しめのエアロビクス系が良いと思います。
息が上がって少し苦しいくらいのものにチャレンジしてもいいと思います。
あるいはプールのあるジムであれば、プールを使ったアクアエクササイズもあったりします。
水の抵抗がある分、エネルギーの消費も激しく、たくさんの酸素を取り込もうとするので肺活量のトレーニング効果も上がります。
また、そういったエクササイズだと、講師の人が「ヒューッ!」とか「フォーッ!」とか奇声(?)を上げて、参加者もそれにつられて「ヒューッ!」とか「フォーッ!」とか言ったりします。
これは気分を盛り上げるだけでなく、お腹から声を出すことで腹筋にも効きますし、心肺機能にもより負荷をかけることになるので、恥ずかしがらずに積極的に声出ししましょう。
またプログラムへの参加は、他の会員や講師と接したり、知り合いになったりするチャンスです。
スポーツジムの居心地がよくなると、トレーニングを続けること自体へのモチベーション向上にもつながりますね。
ジムでできるおすすめ肺活量トレーニング4.トレッドミル
トレッドミルというのは、つまりランニングマシンですね。
またちょっとカッコよく言ってみただけです。
肺活量を上げるには、やはり走ること自体も効果があります。
せっかくマシンを使うのであれば、トレッドミルに組み込まれているプログラムを使って効果を上げるのはいかがでしょうか?
通常トレッドミルにはいくつかのプログラムがセットされています。
例えば、
・前半は徐々にスピードアップして、後半は徐々にスピードダウン
・ダッシュとジョグを繰り返すインターバル
・時間が経つにつれて傾斜が徐々にきつくなっていく
などなど。
肺活量トレーニングでは、インターバルをおすすめしたいと思います。
インターバルはご存知の通り、スピードを上げる「疾走」とゆっくり走る「緩走」を繰り返すことで、心肺機能に断続的な負荷をかけて強化するトレーニングです。
陸上のトラックなどの周回でやるのが一般的ですが、トレッドミルであればマシンがスピードをコントロールしてくれるので、自分でストップウォッチを見る必要がありません。
スピードは自分のランニングの実力に合わせて決めてください。
トレッドミルのディスプレイには通常1km当たりの時間が出るので、例えば、
・5:00/kmで3分間
・7:00/kmで2分間
といった感じで繰り返します。
ジムでできるおすすめ肺活量トレーニング5.深呼吸
最後は深呼吸です。
とか言うとラジオ体操みたいですね。
でもこの深呼吸こそ肺活量を向上させるエクササイズの基本なのです。
肺に空気を思いっきり送り込むことで、肋骨のあたりが膨らんでくるのが分かります。
肋骨の周りにある筋肉も呼吸筋のひとつですが、深呼吸のようなゆっくりした動作で肺の換気をすると、呼吸に使っている筋肉を直に感じることができます。
筋肉を使ったり鍛えたりするには、筋肉がどこにあってどう動くのかというのを意識できることが重要なのです。
「ん? でも深呼吸だったらジムじゃなくたってできるんじゃん?」と思われるかもしれません。
もちろんそうなのですが、ジムを利用するメリットというのは、できることが多彩であることです。
今回あげたように、肺活量を鍛えるという目的で見ても、いくつもの選択肢があります。
ランナーがランニングだけやっていたらそれはそれで飽きてしまいます。
深呼吸だって、深呼吸ばっかりやってなんかいられません。
気分によって、体調によって、トレーニング方法を選べるのがジムのいいところですね。
ジムでできるランナーのための肺活量トレーニングまとめ
肺活量とは何かというところから、5つのジムでやる肺活量トレーニングまでを見ていきました。
ご参考にしていただければ幸いです。
今回取り上げたトレーニングを整理すると、
でした。
個人的なことを言えば、私は主に夏の暑い時期と冬の寒い時期にジムを頻繁に利用します。
基本的には外を走ったりする方が好きなので、できる時はそっちを優先させます。
ただ今回あげたようにジムだと色々なことができて飽きないですし、また暑さや寒さとも無縁です。
安全安心でトレーニングができるところもジムの利点ですね。
賢くジムを利用して、限られた時間を有効活用していきましょう。
雨の日や寒い日はジムでトレーニングしましょう!
【ジムトレーニング】正しいランニングフォームの矯正に必要な筋肉トレーニング5選