
ランニング初心者、フリーライターの鳥北です。
「誰でも気軽に始められるのがランニング」などと言いますが、走るのはやはり、つらいですよね。
すぐに息が上がって苦しくなるし、脇腹は痛くなるし。あれさえ、なければいくらでも走れるのに(そんなわけはないか)。
そんなことをこぼしたら、妻が言うんです。
「ちゃんと、呼吸してる?」って。
ちなみに妻は、学生時代に長距離選手でした。国際マラソンにも出場したこともあります。記録はたいしたことはなかったけど。おっと、これは言ってはいけない。
確かに、どんなスポーツでも呼吸は大切だと言いますよね。
でも、ランニングに合った呼吸法ってなんだろう。さっそく、調べてみました。
これで、いくらでも走れるようになるかしら。そんなわけは、ないですね……。
目次
基本の呼吸方法はスッスッ、ハッハッ?
まずは、とりあえず調べてみましょう。ちなみに、私は知識から入るタイプで、予備知識なしでは動きません。
妻は考える前に動きます。あれこれ、調べたり考えたりする前に、まずやってみる。性格は真逆です。
「ランニング、呼吸法」とネットで調べてみると、結構でてきます。みなさん、ランニングの際の呼吸法で悩んでいるんですね。
インストラクターの指導法から、市民ランナーの体験談まで数多くのアドバイスがありましたが、共通しているのは「基本は、スッスッ、ハッハッ」ということでした。
つまり、「スッスッ」と2回息を吸って「ハッハッ」と2回息を吐くということですね。
小学校で教わったという人もいましたけど、そんなの習ったかなあ。ただ、ひたすら走らされたような気がするなあ。
まあ、私の小学生の頃の体育なんて、コツとか全然教えてくれませんでしたからね。40年ほど前の話ですが。
長距離走だって、鉄棒だって。でもランニングの呼吸の基本が「スッスッ、ハッハッ」だと聞くと、心当たりがあります。
実は私、小学生のときは長距離走が苦手でした。クラスでも一番遅くて。でも、中学生のとき、突然速くなったんです。別に練習もしていないのに。
今、考えると、その理由はまさに呼吸法でした。
当時は呼吸法なんて考えていませんでしたが、「ハッハッ、スッスッ」と息でリズムを取りながら、走ると楽だと気づいたんです。
前半は呼吸を整えてながら、自分よりちょっと早いペースの人の後ろについて、後半、みんなが疲れてきた頃にスパートをかけて、どんどん追い抜いていく。気持ちよかったなあ。
「ハッハッ、スッスッ」。あれ、逆じゃない。まあ、いいか。吸うのが先でも、吐くのが先でも。
要はリズムを一定にすればいいということでしょ。
ランニング中の呼吸は口呼吸か、鼻呼吸か?
「スッスッ、ハッハッ」が基本ということですが、ほかにも「スースース―、ハーハーハー」という呼吸法もあるようです。
さらに、日本経済新聞の記事で見つけたのが、「吸吸吸吸—吐吐吐吐」という呼吸法。
2012年11月12日付電子版、ランニングインストラクター斎藤太郎さんの記事です。
これは、走っている途中で、息が苦しくなって姿勢が悪くなったときに、姿勢を正す方法だそうです。
「おぉ、息が苦しくなったときの対処法!もう、見つかりました。これで問題解決か!でも、どうして、細かく分けて呼吸するのでしょうか。どうして、普通に呼吸してはいけないのでしょう?」
その前に、一つ気になることがあります。それは、鼻で息をするのか、口で息をするのか、ということです。
最近は、口で呼吸するより、鼻から呼吸した方がいいとよく聞きますね。
口で呼吸すると、のどが乾燥しやすくなり風邪をひきやすくなるとか、いびきをかきやすくなるとか。
口の中が乾燥するので、虫歯になりやすいとも聞いたことがあります。
鼻から呼吸をしやすくするために、口をふさぐテープも売られていますよね。
これについては、『トップアスリートが実践 人生が変わる最高の呼吸法』(パトリック・マキューン/著 桜田直美/訳 かんき出版)という本を見つけました。
口呼吸から鼻呼吸に変えるだけで、運動パフォーマンスが上がり、疲れない体になるそうです。オリンピックの金メダリストも実践しているとか。
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トップアスリートが実践
人生が変わる最高の呼吸法
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高校時代、クラスに「鼻息が荒くなるから、俺は鼻で呼吸なんかしたくない」と、懸命に口から呼吸する練習をしていた友人がいましたが、あいつは今頃、どうしているのかなあ。
それは、ともかくランニングも鼻呼吸がおすすめのようです。
たとえば、「鈴廣かまぼこ」というかまぼこ会社が運営する「アスリート トレーニング マガジン」というサイトには、こうあります。
「呼吸は、鼻から吸って口で吐く、が基本。鼻から吸わないと浅い呼吸を繰り返してしまいがちなようです」。
つまり、口から吸っても呼吸が浅くなって、空気を十分に取り入れられないのでしょうね。
ちなみに、このかまぼこ会社が開発した、魚由来の良質なたんぱく質を補給できる「サカナのちから」を摂取すると、「スタミナ切れしない身体」になるそうです。
ランニング中の楽な呼吸は、こまめに酸素を取り込むことがポイント
どうやら、細かく呼吸する理由は、空気つまり酸素ですね、酸素を多く取り込むためのようです。
しかし、細かく呼吸すれば、本当に酸素をより取り入れることができるのでしょうか。
実は呼吸法というのは、「呼吸生理学」という学問になっています。細かな呼吸の効果についての研究がないか調べてみました。
論文まで調べられるなんて、本当にインターネットは便利ですねぇ。
すると、ありました!文系の私でも理解できそうなやさしく書かれたものが。
大阪市立大の藤本繁夫名誉教授が2001年に書かれた「運動中の上手な呼吸法」です。
藤本名誉教授によると、運動能力をよくするには「酸素を充分に取り入れながら運動すること」だそうです。
そして、酸素を効率よく十分にとりいれるには、一回の呼吸で多くの酸素を吸う。つまり、大きく深呼吸するか、吸う回数を増やすのがいいそうです。
スポーツのときだけでなく、呼吸器系の患者に呼吸の指導をするときも、「 吸って吐いて、吸って吐いてではなく、吸って吸って、吐いて吐いて吐いて吐いて、というように吸気と呼気の比を1対2、あるいは 1対3で指導します。
こうすることによって、深い呼吸を行い、ガス交換率を高めるようにします」とのことです。
なるほど、細かく呼吸するのは、より酸素を取り入れるためだったんですね。
そして、なぜ、酸素を取り入れなくてはならないのか、というと筋肉の中にできる乳酸を中和するためだそうです。
乳酸は疲労物質で、これが蓄積してしまうと、ランニングではもう走れなくなってしまいます。
そこで、酸素をたくさん取り込んで、乳酸を中和する物質を作り出すのです。
この辺りのメカニズムを知りたい方は論文を読んでください。ちょっと難しいですけど。私は10回くらい読み返して、ようやくここまで理解しました。
ランニングをしていて、苦しくなるのは、筋肉の中に乳酸が溜まるから。そして、より酸素を取り入れられる呼吸をすることで、乳酸を中和することができる。これで、どうでしょう。
最強の呼吸法は、練習を重ねれば自然と身に付く
楽に走る、そして、つらさを和らげるには、できるだけ酸素を取り入れる。
そのために、細かく区切って呼吸をする。口呼吸ではなく、鼻呼吸で。呼吸の仕方によって、ずいぶん変わるんですねえ。
走るときは呼吸法についても注意しましょう。
妻に教わることなく、ここまで理解することができた私。
ちょっと自慢したくなって、妻に「あなたは、どんな呼吸法を使っているの」と聞いてみました。さすがに、呼吸生理学の論文を読んだことはないはず。
すると、なんと答えは、
「そんなもの、ない」。
なんと衝撃の回答。
妻曰く、
「スッスッ、ハッハッ」は初心者レベルの話。最初はそこから。
でも、私くらいになると、そのときのペースやコンディションによって、呼吸は変わる。
呼吸法なんて、いちいち考えない。そんなものは、走りの後についてくる。
だそうです。
でも、「それは、あなたが考えるより、体で覚えるタイプだからじゃないの」と私は思いました。そのときは。
それから、参考にしようと小出義雄さんの「知識ゼロからのジョギング&マラソン入門」(幻冬舎)を手に取ってびっくり!
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知識ゼロからの
ジョギング&マラソン入門
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呼吸法について、「意識しちゃいけない。何も考えなくても体が勝手にやってくれるから」と書いてあるではないですか。
おみそれしました。結局、あれこれ調べたり考えたりする前に、とりあえず走れ!ということですかね。そうすれば、楽に走れる自分なりの呼吸法が見つかる。
でも、初心者の私は、まずは「スッスッ、ハッハッ」じゃなかった「ハッハッ、スッスッ」から始めてみます。
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