
心拍数を計測しながら行う、心拍ゾーントレーニングを紹介します。
ひと昔前と比べて、心拍計も身近で手軽なものになってきました。
そうした環境も手伝って、心拍トレーニングを行うランナーも増えてきているようです。
ここでは、
・心拍ゾーントレーニングとは?
・心拍トレーニングのメリットって何?
・心拍ゾーントレーニングってどうやるの?
といった疑問にお答えしていきたいと思います。
心拍トレーニングは、トップ選手だけのものではありません。
一般のランナーにも簡単に行う事ができ、ランニング能力向上に役立ちます。
目次
心拍ゾーントレーニングとは?
「心拍数」ならわかるけど、「心拍ゾーン」なんて初耳、という人も少なくないでしょう。
心拍ゾーンというのは、最大心拍数を100%とした時に、何%の心拍数であるかという範囲を規定したものです。
言葉だけで説明するよりも、表を見ていただいた方が早いでしょう。
心拍ゾーンを表にしたものの一例です。
出典:epson.jp
ここにあげたのはエプソンのWristableGPSというスポーツウォッチのシリーズで定義したものです。
一例というのは、こういったゾーン分けの定義を、スポーツウォッチメーカ各社、
Garmin(ガーミン)
POLAR(ポラール)
がそれぞれ設定しているためです。
エプソンのものをあげたのは、一番表がコンパクトにまとまっているからというだけです。
実際にお手持ちの心拍計やスポーツウォッチのメーカが発表しているものを参照していただければ良いと思います。
心拍数を計測し、ある一定の心拍数の範囲(ゾーン)内で走ることにより、安定して狙った強度の負荷をかけるトレーニングが、心拍ゾーントレーニングということになります。
心拍トレーニングをするメリット
心拍トレーニングとは、心拍数を基準として、強度を管理・コントロールして行うトレーニングです。
そして、そのメリットはというと、目的に合わせて強度をコントロールすることで、トレーニングの効率を最大化することです。
「心拍トレーニング」というのが、ある特定の練習方法を意味するのかというとちょっと違います。
ランニングには、いろいろなトレーニング方法(インターバル走とか、ペース走とか)があります。
そのトレーニングの中に心拍数の管理を取り込むことを、「心拍トレーニング」と捉えていただければ良いと思います。
また、なぜ「ペース」ではなく「強度」を管理するのかと、疑問に思うかもしれません。
ペースはランニングにおいてとても重要な要素ですが、
・道のアップダウン
・風
・体のコンディション
など様々な要因に左右されてしまいます。
上り坂では同じ力で走っているつもりでもペースが下がってしまったり、あるいはコンディションが悪いのにいつものペースを維持しようとすると、体に過度な負担となってしまったりします。
つまりペースというのは、色んな要素が合わさっての結果(アウトプット)であると言えます。
それに対して心拍数は、体に与えているトレーニング強度をより直接的に表してくれます。
ランニングのアウトプットではなく、トレーニングの中身を重視するのが、心拍トレーニングというわけです。
心拍ゾーントレーニングのやり方
では具体的に、心拍ゾーントレーニングのやり方についてみていきましょう。
その1.ランニング中の心拍数を測る
まずは心拍数が測れないと始まりません。
心拍数を測るのは専門的な装置が必要なわけではありません。
私が初めて心拍計を身に付けたのは15年ほど前でした。
その頃は心拍ベルトで測るのが主流だったので、ポラールというメーカーの心拍計を買いました。
センサー付きのベルトを胸に巻くと、みぞおちの辺りにセンサーがきて、そこで計測したデータを腕時計に送信するという仕組みです。
ただ個人的には心拍計を付けるのがあまり好きではありませんでした。
だって、ズボンのベルトみたいなのを胸に巻いて走るのを想像してみてください。
緩く巻いたらずり落ちてきそうですし、きつく締めたら息が苦しくなってしまいます。
それが最近では、手首で測れるようになっています。
腕時計の内側に光学心拍計がついていて、普通に腕時計を装着しているだけでお手軽に心拍数が測れるのです。
技術も進歩したものです。
では古き良き時代の心拍ベルトはもう必要なくなったので、思い出を胸にしまっておさらばしましょうか。
ところが、そう単純な話でもないのです。
手首で脈拍を計測するわけですが、体の末端の方で測るので、心臓の近くで計測する心拍ベルトに比べるとやはり精度が劣ります。
なので、心拍ベルトにするか、手首の光学心拍計にするかは、個人の判断になります。
計測精度を優先させるか、手軽さ・快適さを優先させるか、といったところですね。
その2.自分の最大心拍数を知る
心拍ゾーンは最大心拍数を基準としているので、自分の最大心拍数を知っておく必要があります。
最大心拍数の決め方として、もっとも正確なのは専門的な設備のある施設で計測する方法なのですが、簡単に求めることもできます。
かつては「最大心拍数=220-年齢」という単純明快な公式が幅を利かせていましたが、これはさすがに不正確だということになりました。
最大心拍数の求め方にも複数の定義があり、こちらもメーカ各社で規定しています。
エプソンの場合は「最大心拍数=206.9−(0.67×年齢)」です。
こちらもお手持ちの機器のメーカの情報に従っていただけば間違いないでしょう。
その3.目的に合わせた心拍ゾーンでトレーニングする
それぞれの心拍ゾーンでの代表的なトレーニング法を紹介します。
各練習法については個別に記事が出ているので、各記事のリンクから参照していただければ幸いです。
心拍ゾーン5 90~100%
これはもうほぼ全力疾走です。
長距離ランナーにとっては比較的レアなトレーニングになります。
このゾーンで行う練習には、レペティショントレーニングがあります。
フルマラソンでサブ3・サブ4を狙うなら練習でレペティショントレーニングを取り入れよう!
心拍ゾーン4 80~90%
ここもかなり強度の強い、スピード強化系のトレーニングですね。
この強度で長距離を走るのはかなりきついです。
代表的な練習法にはインターバル走があります。
【速く走りたいランナー必見!】インターバル走の3つの効果とおすすめの3つの練習メソッド
心拍ゾーン3 70~80%
マラソンなどの長距離走では、この辺りはいわゆる巡航速度ということになります。
レースペースなどで行う「ペース走」が代表的なトレーニングになります。
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心拍ゾーン2 40~70%
40~70%とありますが、実際には最大心拍数の60~70%程度で行うのが一般的です、
LSDや、普段のジョギングなどの心拍ゾーンです。
【レベル別練習方法付き】ロングスローディスタンス(LSD)の効果と抑えるべきたった一つのコツ
60%未満の心拍数は、ウォーミングアップやクールダウン、あるいはウォーキングなどになります。
心拍数を基準にしたゾーントレーニング
いかがでしたか?
最大心拍数を基準として、ランニング中の心拍を心拍ゾーンで管理するトレーニング手法について紹介してきました。
おさらいです。
心拍数を基準として強度を管理・コントロールするトレーニングで、目的に合わせて強度をコントロールすることで、トレーニング効率を上げるメリットがある。
心拍ベルトを付けるタイプと、手首で測れるタイプがある。
ある一定の心拍数の範囲(ゾーン)内で走ることにより、安定して狙った強度の負荷をかけるトレーニングである。
インターバルやペース走など、長距離走のさまざまな練習法に活用できる。
心拍数を管理することでトレーニング効果を上げて、目標タイムの達成につなげましょう。
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