
皆さんは、ピッチ走法やストライド走法という言葉をご存知ですか?
ランニングに慣れてきた頃、また、自分の走り方に少し変化をつけてみたい…。
そんな方にぜひ参考にして頂きたいのが、今回の特集です。
ピッチ走法(ショート・ストライド)とストライド走法(ロング・ストライド)
この二つには、大きな違いがありますが、どちらも走るペースを上げる事ができますし、あなたに合う方走り方を見つけられたら、身体への負担も減らす事ができます。
今回は、ピッチ走法とストライド走法のメリット・デメリットについて比較したいと思います。
目次
ランニングのスピードについて
そもそもランニングのスピードは、
「ストライドの長さ」×「ケイデンス(ストライドの回転数)」=「一分間で走る距離」
で決まります。
このケイデンスは、1分あたりの歩数のことで、別の言い方をすればストライドの回転数をさします。
単位はSPM(ストライド・パー・ミニット 1分あたりのストライドの回転数)を使用します。
ストライドとは、陸上競技などで使われる言葉で、歩幅(広めの歩幅)のことです。
なんだか専門用語が重なってきましたが…
つまりは、1分間あたりの歩幅と回転数が、ランニングのスピードを左右するんですね。
ケイデンス180SPMを目安にして、“この人は、よくトレーニングを積んだ長距離ランナーだな”、と評価できるようですね。
この目安の提唱はアメリカ人ランニングコーチのジャック・ダニエル氏によるものです。
例えば、ストライド(歩幅)が100センチのランナーが、ケイデンス180SPMで走りますと、100センチ×180SPM=1分あたり18,000センチ、つまり1分あたり180メートルで走ることになるわけです。
この「ケイデンス=ストライドの回転数」ですが、日本ではおなじみの「ピッチ(頻度)」と考えるとわかりやすいでしょう。
ランニングで大事なことといえば
さて、ランニングでとても重要なのが、重心の真下を意識して着地することです。
言葉だけですとイメージしづらいかもしれませんが、足の着地点がランナーの重心の真下にくる、そんなイメージです。
この重心の真下に正しく着地できるストライドが、ランナーに最適なストライドと言われています。
単純計算で結論づければ、
「ストライドが長い」×「高いケイデンス値」だと非常に速く走れてしまうことになります。
ストライド走法(ロング・ストライド)とピッチ走法(ショート・ストライド)について、有名選手のデータをもとに考えて見ましょう。
ランニングの着地法について、詳しく知りたい方はこちらで▽▽▽
【絶対に覚えたい!!】ランニングでケガを防ぐ走り方とは?故障を避ける着地法
野口みずきさんの走りをもとにストライド走法を分析してみました
・ストライド走法とは…
身長と比較して、ストライド(歩幅)が長い、または大きい走法のことです。
先ほどの算数だけで見ますと、ストライド走法がタイムにこだわるランナーには必須にみえますね。
代表的なランナーとして、野口みずきさんがいます。
ご紹介したビデオでは(少し画像が悪いのですが)、野口みずきさんの身長に比べて長いストライドや、右手を振る癖がはっきりわかります。
野口みずきさんは右手を大きく横に振る独特の腕振りの癖があるんですよね。
あの腕振りでリズムをとって大きなストライドを繰り出しているのかもしれません。
データマンで有名な野口純正さんのデータ(日刊スポーツ提供)を見ますと、年齢が上がるとともにストライドも伸びていて驚かされます。
野口みずきさん
・身長150センチ
・体重40キロ
(2002年名古屋マラソン)
・平均ストライド147.9センチ
・身長比98.6パーセン ト
・ケイデンス196.5SPM
(2007年東京マラソン)
・平均ストライド151.5センチ
・身長比101パーセント
・ケイデンス196.9SPM
と凄まじく向上していることが数値ではっきり見えます。
その結果タイムも、
2時間25分35秒(2002年名古屋マラソン)
2時間21分37秒(2007年東京マラソン)
へと驚異的な伸びを見せました。
自分自身の身長以上のストライドで走るという状態がどんなものか想像できますか?
野口みずきさんの体は宙に浮いている滞空時間が長いということです。
滞空時間が長いという事は、着地の際に怪我のリスクがどうしても増えてしまいます。
飛び跳ねすぎないように前に効率的に進む、とはかなりのテクニックと筋力を要求されますね。
また着地した際の衝撃を和らげるために、重心が沈み込まないトレーニングをしなければ、とても42.195kmを走りきれないですよね。
増田明美さんも、ストライド走法を取り入れていらっしゃる選手の1人ですが、ご自身のブログの中で筋力アップのため「私は腹筋3000回してたけど 」とおっしゃっています。
この一言で、私ならすぐに、「ストライド走法は私には難しい。。。」となってしまいます。
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算数的に最強なのは、ストライド走法ですが、ストライド走法を可能にするための筋力をつけるまでに並大抵ではないトレーニングが必要です。また長い歩幅を可能にする柔軟性を高めるトレーニングも必要です。
また怪我に泣かされるリスクが高いという点が、初心者ランナーにはデメリット、あるいは大きすぎる課題と言えるのではないでしょうか。
ストライド走法のメリット
・速く走ることができる。
ストライド走法のデメリット
・体幹の筋力、柔軟性を要求される。
・怪我に泣かされるリスクが高い。
高橋尚子さんの走りをもとにピッチ走法を分析してみました
・ピッチ走法とは…
歩幅が小さく、体格の小さな日本人が取り入れやすい走法です。
歩幅が小さいので、脚を回転させる頻度を上げることで速度を上げます。
ピッチとはもともと頻度(数)を意味しています。
歩幅が小さいと、身体の上下運動が少ないため、筋肉への負担が少なくできます。
筋力がない場合や、柔軟性に欠ける場合には、ピッチ走法を選ぶことになります。
代表的なランナーとして高橋尚子さんがいます。
野口純正さんのデータによりますと、
高橋尚子さん
・身長163センチ
・体重46キロ
(2010年ベルリン大会)
・平均ストライド 145センチ
・身長比 89パーセント
・ケイデンス209SPMでした。
・2時間19分46秒
というタイムを打ち立てました。
高橋さんの走りは
1.45m×209SPM=303m/m (一分間で303メートル走行)
42195m÷303m/m=13925m (13925分は約2時間19分46秒です)
こういった計算が成り立ちます。
現実的に、ピッチ走法が怪我の予防という観点や、スタミナ切れの心配が少ないというランニングへの取り組みやすさから選ばれる傾向にあると言えるのではないでしょうか。
ただし、ピッチ走法でタイムにこだわった走りをしたい場合、腕振りを強化し脚の回転数を上げなくてはなりません。着地の際の衝撃が少なくても、頻度の高い腕振りは体力の消耗につながります。
高橋さんのケイデンスは209SPMです。一分間に209回も脚を回転させているのです。
それだけ腕振りもしていることになりますよね。
かなりの腕立て伏せをして上半身の筋力も強化しないと、なかなか成し遂げられない数値だと思います。
ピッチ走法のメリット
・筋肉への負担が少ない。
・着地の際に脚への負担が少ない。
・スタミナ切れの心配が少ない。
ピッチ走法のデメリット
・スピードを出しにくい。
・タイムにこだわる場合、体力の消耗が著しい。
あなたには、どちらが合っていますか?
いかかでしたか?
高橋尚子さんは野口みずきさんより体格が良い(背が高い)ということもあって、平均ストライドは145センチもあります。
ピッチ走法(ショート・ストライド)というカテゴリーの中で高橋尚子さんは語られますが、これは明らかに一般的なランナーより長いストライドなのではないでしょうか?
私は身長156センチですが、ストライドは100センチもあるかどうか、といったレベルですので高橋さんのストライドは非常に長いと思います。
・体格の差(身長や足の長さ)
・マラソン歴
・目標とするペース
・走る目的
などなど、人によって違う事がたくさんあります。
今回ご紹介した、2つの走法のメリット、デメリットを踏まえて、あなたに合う走り方を探してみてください。
そして、マラソンを続けていく中で
・タイム重視の結果を出したい
・楽に長く走れるようになりたい
そんな気持ちが湧き上がってきたら、あなたを伸ばす戦略的なトレー二ングプランを立てる事が近道になるはずです。
ぜひ、自分らしいランニングライフを楽しんでくださいね。
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