
大迫傑選手、シカゴマラソンで日本新記録!!
タイムは2時間05分50秒。
日本人で初めて2時間06分の壁を破った。
今年(2018年)2月の東京マラソンでは、設楽悠太選手が2時間06分11秒で日本新(当時)。
更に、先月のベルリン・マラソンではエリウド・キプチョゲ選手(ケニア)が前人未到の世界新記録。
2時間01分39秒という驚異的なタイムを叩き出し、マラソンファンの間で話題になったばかり。
この度重なる記録更新の裏には、足元が大きな役割を果たしている。
この新記録を作られた3選手が履いていたシューズを並べてみると…。
エリウド・キプチョゲ選手
ナイキ ズーム ヴェイパーフライ エリート
(nike zoom vaporfly ELITE)
大迫傑選手
ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4% フライニット
(nike zoom vaporfly 4% flyknit)
設楽悠太選手
ナイキ ズーム ヴェイパーフライ 4%
(nike zoom vaporfly 4%)
使用するのは、3選手ともにナイキ社製の「ヴェイパーフライ」(以下、大迫シューズとする。)という商品。
ランニングシューズコンサルタントの私が、今回、こちらの大迫選手が履かれていたシューズを徹底分析をしていきます。
目次
従来のランニングシューズは薄く・軽い。新記録を更新している大迫シューズは?
従来の「記録を狙うための」ランニングシューズと言えば、「薄くて軽い」ランニングシューズが一般的。
単純に考えれば、厚くて重いランニングシューズを装着するより、「薄くて軽い」シューズを履いた方が楽に走れそうな気がするもの。
ところが、大迫シューズ(ヴェイパーフライ4%フライニット)は、重いとまではいかないが、靴底がかなり「分厚い」仕様。
大迫シューズの分厚さの意味するものとは?
かかとが高くて、つま先が低ければ、何となくスピードが出そうな気がしますよね?
志向とすれば、従来の「蹴る」ことで走りやすいものから、「体重移動」で走りやすいものへ移行しているようだ。
新記録を更新し続ける大迫シューズ=ヴェイパーフライ4%とは?

photo by 渡辺一充
大迫選手を始めとするトップ選手が履くことで、一躍有名になったこのシューズ。
ナイキの公式サイトから引用すると
①厚さは速さだ
厚底シューズは、ランニング効率を平均4%向上させる。②驚異的な推進力を生むソール
フルレングスのカーボンファイバープレートが、足を前へ押し出す感覚を提供。③最速を実現する軽量アッパー
これまでにない抜群の安定感とフィット感で、ゴールまで快適な履き心地を実現。
昨年末のランニング足袋を題材にしたTBSで放送されたテレビドラマ「陸王」。
「足袋VS厚底シューズ」という文言が話題になった。
市民ランナーにはシューズの耐久性を高めた「ズームフライ」の方が知られているが、トップ選手が使用しているものは「ヴェイパーフライ4%」(大迫シューズ)。
大迫シューズは、「厚さは速さだ」のキャッチコピーでも有名。
大迫シューズをより身近にしたランニングシューズのズームフライとは?

photo by 渡辺一充
大迫シューズ(ヴェイパーフライ4%)は、市場に出回っている数が非常に少ない。
それは、発売日の開店前に並ばなければ手には入らないほど。
大迫シューズ(ヴェイパーフライ4%)は、2万5000円以上する高価格帯の商品だがプレミア感がある。
更にレース用ということで、耐久性も低くなっている。
そのため、多くの方が早く走りたいと思うならば、この「ズームフライ」を選択することになる。
このズームフライも今秋進化を遂げ、「ズームフライ フライニット」という商品にアップグレードすることに。
ナイキの公式サイトより引用すると
①厚さは速さだ
ヴェイパーフライ4%と同じカーボンファイバープレートに。②その一歩に推進力を
クッショニングシステムに最も完成度の高いNike Reactフォームを採用。衝撃を吸収し、一歩ごとに推進力を生み出す。③ぴったりフィットする快適なアッパー
靴下のような履き心地で、ゴールまで快適な走りをもたらす。
フライ系のランニングシューズを選ぶとき必要な二つの視点
フライ系(ズームフライやヴェイパーフライなどランニングシューズ)のランニング シューズを使用する際には2つの面から考える必要がある。
それは、
①走りやすいか否か?
②長期的に考えるか短期的に考えるか?
ではそれぞれ以下で詳しく説明していこう。
選んだフライ系のランニングシューズは走りやすいか否か?
まず、「そのフライ系(ズームフライやヴェイパーフライなどランニングシューズ)ランニングシューズを履いて走りやすいか否か?」という視点だ。
シューズを履いて走りにくければ、そもそも選択する可能性は低いだろう。
ブームに乗っかり「速く走れるはず!」と、無理にそのランニングシューズを履くことは、故障につながるリスクが高く、おすすめしない。
ズームフライフライニットや大迫シューズ(ヴェイパーフライ4%)には「カーボンファイバープレート」という硬いプレートが埋め込まれており、踏み込んだら自然に脚が前に出るような設計になっている。
つまり、このシューズは地面を強く蹴るようには設計されておらず、体重移動で自然に脚を出していくランナーに向いているランニングシューズと言うことができる。
このシューズを履いた時、走りにくいということは、
・骨盤が後頸している
・地面を蹴りすぎている
・上記両方
ということだ。
実は、このシューズで走りにくい場合は、足腰に大きく負担の掛けるため、効率の良いフォームとは言いづらい。
そうを考えると、「このシューズを履いて走りやすい≒効率の良いフォームをしている」とも言える。
フライ系のランニングシューズが走りづらいランナーにとっては、走りやすいフォームに改造していくことは走力アップにつながるかも知れない。
それは、このシューズを履いて走りやすくなったということは、体重移動をしやすいフォームを身に着けたと言える可能性があるからだ。
フライ系のランニングシューズの使用目的を短期的・長期的どちらと考えるか?
では、大迫シューズやズームフライ系のランニングシューズを「走りやすい」と感じるランナーにとってはどうか?
ランニングシューズコンサルタントである私の第一印象はこうだ。
「速く走れるけど、依存すると結果的に弱くなるシューズ」
つまり、身体を前傾させるだけで前に進めるため、フライ系のランニングシューズには強い「依存性」がある。
もちろん速く走れるはずだろう。身体は楽だろう。
短期的に
「このレースで結果が欲しい!」
と思うのであれば、これを使うことで良い結果が出ると思う。
しかしながら、
「自分の身体能力を高めたい!」
「もっともっと高い目標があって、そこを目指したい!」
と思うのであれば、このシューズの常用はおすすめしない。
なぜならば、このシューズの影響力が強すぎ、身体の機能(特に足の裏)を十分に使わなくても速く走ることができてしまうからだ。
良く言えば「効率よく走れる」
悪く言えば「身体を怠けさせている」
ということ。
つまり、短期的に(このレースで結果を出したい!)考えるのであれば、このシューズを履くことで良い結果を生む可能性は十分にある。
ただ、長期的に(強くなりたい!)考えるのであれば、このシューズに依存するべきではない。
大迫シューズには一長一短があり、目的によって使い分けるのが良い
①大迫シューズ(ヴェイパーフライ)を履いた時に走りやすいことは、効率の良いランニングフォームをしている。
②大迫シューズを履いたときに走りやすいように身体を改造していくことは大切なこと。
③大迫シューズに依存してしまうと身体の機能(特に足の裏)を使わないことに慣れてしまう。※結果的に弱くなってしまうリスクがある。
④練習においてはその他のシューズや裸足感覚のシューズなどを上手く組み合わせてトレーニングをし、仕上げの練習やレースのみで使用する。
これがランニングシューズコンサルタントの私の大迫シューズに対する見解。
どんなものでも一長一短があり、メリットがあればデメリットもある。
メリットだけを享受しようとすると、必ず落とし穴にはまってしまう。
もちろんこのシューズは走りやすい方が履けば最高のシューズ。
しかし、「練習も本番も、ジョグもポイント練習もこのシューズ!」というのは避けたほうが良さそうだ。
勝負レースやそれに向けたペース走など、限定的な使用に留めたほうが大迫シューズのメリットを上手く利用出来ると思います。
本当に強くなりたいのなら、シューズに依存するのではなく、自らの身体を強くしていきましょう!
強くなった身体でこのシューズを使えば、鬼に金棒ですよ!!
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